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血液型判定でウラ検査が弱いA型の場合には?

 
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この記事は、輸血検査を普段あまりされていない臨床検査技師を対象にしています。

 

血液型検査を実施して以下のように、オモテ検査とウラ検査は一致しているけどウラ検査が弱く判断に迷う場合が多いと思います。

抗A 抗B 抗D Rhコントロール A1血球 B血球
4+ 0 4+ 0 0 1+

このような結果になった場合に、あなたならどうしますか?

当然、追加検査をされると思いますが超簡単な方法があります。

 

それは、抗Hレクチンを使用して判断するという方法です。

血液型検査でウラ検査が弱い場合には?

ウラ検査が弱い場合には、患者情報を収集して以下のような追加検査をされると思います。

  • ウラ検査を4℃に冷やしてみる。
  • ウラ検査の血清(血漿)を増量する。
  • しばらく室温に放置してみる。

これらの追加試験を実施して凝集が強くなればA型として判定しているかと思います。

でも、それで本当にA型と判定してもよいのでしょうか?

A型と判定してはいけない理由は?

仮に上記の検体を亜型とした場合には、B血球の「1+」の凝集は不規則抗体の抗Bということになります。

そのような血清(血漿)を上記のような追加試験を実施して凝集が強くなっても、不規則抗体の抗Bも当然強くなりますので、これでA型と判定してしまったらいけませんよね。

ならば、抗血清による吸着解離試験を実施しますか?

時間がかかりますよね。やったことがない人も多いのでなないでしょうか?

それじゃ、どうすればいいの?

抗Hレクチンを追加試験に入れてください。

具体的には、あなたの使用する抗Hレクチンの説明書に従ってください。

  1. 患者血球と即値のA型血球又はAB型血球(対照)を生食で1回洗浄します。
  2. それぞれの洗浄した血球沈査を3~5%の生食浮遊液にします。
  3. 抗Hレクチン1滴と2の血球1滴をよく混和します。
  4. 卓上遠心機で15秒間遠心します。
  5. 判定

対照に比べて凝集が弱いか変わらなかったらA型と判定します。対照に比べてあきらかに凝集が強ければ、吸着解離試験を行います。

一般的に市販の抗Hレクチンは弱く作られていますので、A型であっても凝集がなく「0」ということもあります。

また、この方法はA型だけでB型には使えませんので注意してください。

抗Hレクチンを使用する理由は?

上記の検体が亜型とすれば、H抗原の量も対照のA型よりは当然多いはずです。そのため、抗HレクチンでH抗原の量を簡易的にみてから判定します。

抗Hレクチンは、Bombayやpara-Bombayだけを区別するために使用すると思われている方も多いと思いますが、このような使い方もありますので覚えておいてください。

亜型以外で考えられることは?

ちなみに亜型とすればA1BxやA1Belなどが考えられますが、亜型以外の原因はないでしょうか?

その他の原因として、新生児や高齢者、無、低ガンマグロブリン血症などで抗体価が低下している場合や点滴などで抗体が希釈されているなども考えられると思います。

ウラ検査の判定基準は?

あなたの施設では、ウラ検査の凝集基準はどこで区切っていますか?

たぶん、試験管法では「2+以下」で精査の対象にして、カラム凝集法では「2+」まではOKにしているかと思います。

それはそれで間違いではありませんが、そもそもその「2+」ってどこからきているか考えたことがありますか?

明確な基準はなく、誰が決めたかわかりません。当然、エビデンスもありません。たぶん、「2+」というのは不規則な抗Aや抗Bはそこまで強くないだろうというところからきていると思います。

また、昔と比べて現在の生活環境は綺麗になっていますので、規則抗体の抗Aや抗Bの抗体価は低下しているという論文もあります。

なので、ウラ検査が弱いからといって慌てることはありません。

むしろ、あなたの施設での凝集の目合わせの方が重要になってきます。技師間での凝集の食い違いのないようにしてください。

抗Hレクチンがない場合には?

抗Hレクチンがない場合は、最終的には抗血清による吸着解離試験を実施するしかないと思います。

これからのことも考えて、購入することをお勧めいたします。コストはかかりますが、安全な輸血のためだと割り切りましょう。

直ぐに輸血をしないといけない場合には?

直ぐに輸血をしなければいけない場合には、抗Hレクチンがあればそんなに時間はかかりません。

ない施設は、O型を輸血しますか?

血液型を確定できないのですから、赤血球はO型、血漿はAB型を輸血しても問題はありません。

私の場合には?

私はA型で交差適合試験を行います。何故なら、オモテ検査とウラ検査が一致しているからです。

もし亜型としても、赤血球はA型を輸血するようになります。医師には、「ウラ検査が弱く判定できないがA型を輸血しても問題ない」ということをコメントします。

FFPやPCもA型輸血?

これは、AB型を使用すれば何も問題はありませんが、A型を輸血しても体内で希釈されて副作用は起きません。

しかし、AB型かA型かは、あなたの施設の輸血療法委員会で決められることをお勧めいたします。

また、認定輸血検査技師試験でA型と解答すると落ちてしまいますので、血液型が確定できない時には、赤血球はO型、FFPやPCはAB型と解答してください。

矛盾していますが、本音と建て前だと思ってください。

まとめ

血液型検査のA型でウラ検査が弱い場合には、抗Hレクチンを使って判断します。結果が「0」~「w+」であれば、A型と判定しても問題ありませんが、必ず対照を置いて判定してください。

抗Hレクチンは、Bombayやpara-Bombayだけを区別するために使用すると思われている方も多いと思いますが、A型でウラ検査が弱い場合にも使用します。

ぜひ、抗Hレクチンの購入をお勧めいたします。

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