鉄欠乏性貧血の裏に隠されているものとは?

貧血になった時に、勝手に鉄不足と思いサプリメントなどで鉄を補充しない方がよいです。その理由は、鉄不足のかげに消化管出血や子宮筋腫といった病気がかくれている可能性があるからです。

鉄不足でおこる鉄欠乏性貧血とは?

鉄欠乏性貧血は、体に必要な鉄が不足している貧血です。鉄が減ってしまうのには、何らかの原因があります。その原因を突き止める必要があります。

鉄欠乏性貧血の原因はどこにあるのでしょうか?

  • かたよった食事で鉄分を取れない。
  • 生理での出血で鉄が失われてしまう。
  • 体の成長にともない鉄の必要量が増える。
  • 妊娠・出産・授乳により鉄が減ってしまう。
  • 腫瘍・潰瘍・痔・子宮筋腫などの出血で鉄が失われてしまう。
  • その他

鉄欠乏性貧血はどんな症状があるのでしょうか?

  • 貧血
  • 動悸
  • 息切れ
  • 疲労感
  • 頭痛
  • 胸の痛み
  • 立ちくらみ
  • 浮腫
  • 顔色が悪くなる
  • 爪の変形(スプーン状:爪が内側にへこんでスプーンのようになる)
  • 口内炎
  • 舌炎
  • 物を食べる時に飲み込みにくくなる。
  • 味覚の変化
  • 氷などの異物を食べたくなる
  • その他

検査にはどんなものがあるでしょうか?

採血をして以下の項目を調べます。

赤血球(RBC)

  • 赤血球の数を調べます。
  • 赤血球は体のすみずみに酸素を運んで、二酸化炭素を肺に運んでいます。
  • 基準値:男性・435万~555万個/ul 女性・386万~492万個/ul

ヘモグロビン濃度(Hb)

  • 酸素を体に運んでいる目安になります。
  • 貧血の時には低下します。
  • 基準値:男性・13.7~16.8(g/dl) 女性・11.6~14.8(g/dl

ヘマトクリット値(Ht)

  • 血液中の赤血球の割合をみています。
  • 貧血の時には低下します。
  • 基準値:男性・40.7~50.1% 女性・35.1~44.4%

平均赤血球容積(MCV)

  • 赤血球1個のあたりの平均的な大きさをあらわします。その大きさが小さいと酸素を運ぶ量も少なくなります。
  • 基準値:84~98fl(病院により若干ことなります)
  • 貧血がありMCVが基準値内の場合には正球性貧血といいます。
  • 貧血がありMCVが基準値より高い場合には大球性貧血といいます。
  • 貧血がありMCVが基準値より低い場合には小球性貧血といい、鉄欠乏性貧血などが疑われます。

平均赤血球色素量(MCH)

  • 赤血球1個あたりの平均ヘモグロビン量をあらわします。この量が少ないと酸素を運ぶ量も少なくなります。
  • 基準値:26~35pg(病院により若干ことなります)

平均赤血球血色素濃度(MCHC)

  • 赤血球1個あたりのヘモグロビン濃度をあらわします。この濃度が少ないと酸素を運ぶ量も少なくなります。
  • 基準値:32~35%(病院により若干ことなります)

網状赤血球

  • 骨髄で作られた新しい赤血球のことです。
  • この網状赤血球は、骨髄での赤血球の生産量をあらわしています。
  • 基準値:1~3%(病院により若干ことなります)

血清鉄(Fe)

  • 血液中の鉄の量をあらわします。
  • 基準値:男性・60~210ug/dl  女性・50~170ug/dl(病院により若干ことなります)

不飽和鉄結合能(UIBC)

  • 人の体には3~5gの鉄があります。
  • 血液中の鉄は、トランスフェリンと呼ばれるタンパク質と結合した状態のものが1/3あり、残りの2/3はトランスフェリンと結合していません。
  • 不飽和鉄結合能(UIBC)は、この鉄と結合していないトランスフェリンをあらわしています。
  • 不飽和鉄結合能(UIBC)は、鉄が不足した時に増加して、感染症や悪性腫瘍などで低下します。
  • 総鉄結合能(TIBC)は、血液中のトランスフェリンが鉄と結合できる量をあらわしています。
  • 総鉄結合能は、血清鉄+不飽和鉄結合能(UIBC)ということになります。
  • 基準値:男性・110~330ug/dl 女性・130~380ug/dl(病院により若干ことなります)

フェリチン

  • フェリチンは、タンパク質の1つで、いわゆる貯蔵鉄をあらわしています。いざという時に細胞に貯えられていた鉄を出して血液中の鉄量を調節します。
  • 基準値:男性・20~220ng/ml 女性・10~85ng/ml(病院により若干ことなります)

鉄欠乏性貧血の診断はどのようにおこなわれるのでしょうか?

上記の検査項目が以下のような結果になれば鉄欠乏性貧血と診断されます。

  • 血清鉄は低下します。
  • 総鉄結合能(UIBC)と不飽和鉄結合能(UIBC)は増加します。
  • フェリチンは低下します。
  • MCV・MCH・MCHCは低下します。
  • 網状赤血球は減少します。

鉄欠乏性貧血の治療はどうするのでしょうか?

  鉄の1日の必要量(健康な人)
  • 成人男性:10mg
  • 成人女性:12mg
  • 妊娠後期・授乳中:20mg

食事の改善(病院の管理栄養士による食事指導が効果的です)

栄養の素になる鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄とよばれるものがあります。ヘム鉄は、動物性食品に多く含まれていて体への吸収もよいです。反対に非ヘム鉄は、植物性食品に多く含まれていて体への吸収が悪いですが、ビタミンCと一緒に取ると吸収がよくなります。

ヘム鉄の食品
  • 豚レバー
  • 鳥レバー
  • まぐろ
  • かつお
  • あさり
  • 牛もも肉
  • 豚もも肉
非ヘム鉄の食品
  • ひじき
  • 生揚げ
  • 小松菜
  • 納豆
  • ほうれん草

鉄剤のお薬の服用

  • 医師薬剤師の説明をよく聞くて正しくお薬を飲むことが重要です。
  • 自分の判断でお薬を飲むのをやめてはいけません。
  • 鉄剤のお薬の影響で、吐き気・便秘・下痢・うんちが黒くなったりします。

鉄剤の注射

  • 基本的に注射での補充はおこないません。
  • 急いで鉄を補給しないといけない時と消化器症状が強くどうしてもお薬を飲めない場合に限られます。
注射での鉄剤補給がすすめられない理由は?

1日に汗やおしっこなどで体の外へ出る鉄の量は1mgです。このため鉄過剰症になり、肝臓や心臓にたまってしまい臓器の働きが悪くなるからです。

出血の原因の治療

消化管出血などで鉄が失われているならば、一緒にその治療もしないといけません。特に女性は、子宮筋腫による出血で鉄欠乏性貧血になっている場合があります。また、高齢者では腫瘍・潰瘍からの出血も考えなくてはいけません。

胃カメラ・レントゲン検査・CT検査などをおこなってくわしく検査をします。これらの精密検査が一番重要です。

まとめ

  • 動悸・息切れなどの症状があれば、貧血と思って安易にサプリメントなどに手を出してはいけません。
  • 鉄欠乏性貧血の陰に大きな病気がかくれている可能性があります。鉄が減った原因を調べることが重要です。
  • 病院を受診して、根気よく治療をしましょう。

 

 

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