あなたの笑顔と健康のために臨床検査技師(検査のプロ)が医療に関することをお届けいたします

妊娠時と輸血時での不規則抗体検査について

2018/08/15
 
スポンサーリンク
スポンサーリンク スポンサーリンク
この記事を書いている人 - WRITER -
あなたの笑顔と健康のため検査のプロがお届けしています。 このブログは、医師・看護師・管理栄養士・診療放射線技師などから助言をいただきながら運営しています。
詳しいプロフィールはこちら

妊婦検診の初期に検査される検査項目で、不規則抗体という検査項目がありますが、どういう検査なのかご存知でしょうか?

 

血液型はご存知の妊婦さんは多いでしょうが、案外この不規則抗体は陽性にならないと気にも留めないと思います。この不規則抗体は、輸血前や輸血後、手術前にも検査される検査項目です。

 

この不規則抗体が陽性になると、輸血時には輸血できる血液が限られてきますし、妊婦さんでは新生児溶血性疾患を起こしてしまいます。

不規則抗体って何?

血液型は普通、A型・O型・B型・AB型に分けられます。

 

A型は、抗Bという抗体を必ず持っています。B型は、抗Aという抗体を必ず持っています。O型は、抗Aと抗Bの両方の抗体を持っています。AB型は、抗Aと抗Bの抗体は持っていません。

 

こうように、ABO血液型には規則的な法則があり、これらの抗Aや抗Bを規則抗体と呼んでいます。それに対してその他の血液型の抗体は、不規則にあることから不規則抗体と呼ばれています。

血液型抗原と抗体って何?

抗原や抗体と言ってもわかりずらいと思います。簡単にいうと、人間の赤血球の表面には様々な血液型を決める物質があります。その物質を抗原といいます。その抗原に反応する受け皿が抗体というものです。

不規則抗体が陽性になる主な原因は?

妊婦さんであれば、第1子を出産した時などに胎児の血液によってお母さんに抗体が出来てしまいます。出来る抗体は、お母さんが持たない血液型抗原に対する抗体になりますが、必ずできるとは限りません。

 

また、お母さんの生まれた時からの環境(細菌感染など)の影響で不規則抗体が出来ている場合もあり、これを自然抗体と呼んでいます。この場合には、ほとんどの抗体がIgMとよばれる分子量の大きなもので胎盤を通過しません。

 

しかし、中にはIgGと呼ばれる胎盤を通過する抗体もあるため不規則抗体検査は必要になります。

 

輸血でも同じで、患者さんが持たない血液型の抗原が輸血された時に、それに対する抗体ができる場合があります。

 

また、手術前にこの不規則抗体を検査することによって、手術中に出血をした場合には慌てることがなく安全な輸血が行われます。

不規則抗体ができる場合とできない場合?

これは、胎児の血液や輸血された血液の量やその抗原の強さに左右されます。当然、量が多ければ多いほど、抗原の強さが強いほど抗体は出来やすくなります。また、免疫の働きにも影響されています。

輸血する場合には検査をしているのでは?

輸血では、ちゃんと検査しているのにどうしてそんなことが起きるのか疑問に思うと思いますが、輸血する時にすべての血液型を合わせて輸血することはできません。不可能です。

 

人間の血液型には分類の方法でも違いますが約400種類の血液型が存在するため、それらをすべて合わせて輸血するとなると輸血する血液がありません。

 

そのため、輸血副作用が強いABO血液型とRh血液型を調べてから、交差適合試験という試験を行って他の血液型と合うかどうかを確認しています。

 

その後、不規則抗体が出来てしまったらその抗体に対応しない血液を輸血しましょうというのが、輸血の今のやり方です。

妊婦さんと新生児溶血性疾患について

これには、お父さんの血液型が関係してきます。たとえば、お母さんがEという血液型を持たないでお父さんがEを持っていれば、胎児は1/2の確率で血液型Eを持ちます。これが血液型不適合妊娠と呼ばれるものです。

 

さらに、お母さんの血液型がO型で胎児の血液型がA型かB型の時にも注意が必要になります。O型の抗Aと抗Bは、強いIgGの場合もあるためです。

 

このように血液型不適合妊娠を起こすと、胎児の血液がお母さんに移行して不規則抗体が出来てしまい、その抗体が胎盤を通過して胎児の血液と反応して黄疸などを引き起こします。これが、新生児溶血性疾患と呼ばれるものです。

 

どんな抗体が輸血や妊婦さんに影響するのでしょうか?

すべての不規則抗体が、輸血時の副作用や妊娠時に悪さを起こすわけではありません。通常は、例外もありますがIgGと呼ばれる免疫抗体だけです。

 

一例を挙げると、抗D・抗E・抗e・抗C・抗c・抗Fyb・抗Jka・抗Jkbなどです。

まとめ

不規則抗体は、ABO血液型以外(抗A・抗B)の血液型に対する抗体で、輸血前後や妊娠初期に検査されます。

 

また、輸血副作用や新生児溶血性疾患は免疫抗体と呼ばれる不規則抗体によって起きます。

 

そのため、輸血時には対応抗原陰性の血液を輸血することになり、不規則抗体の種類によっては輸血するまでに時間を要する場合もあります。

 

妊婦さんでは、不規則抗体の種類を調べて、その抗体価(抗体の強さ)を定期的に調べる必要があります。

この記事を書いている人 - WRITER -
あなたの笑顔と健康のため検査のプロがお届けしています。 このブログは、医師・看護師・管理栄養士・診療放射線技師などから助言をいただきながら運営しています。
詳しいプロフィールはこちら

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Copyright© 笑顔と健康の架け橋 , 2018 All Rights Reserved.