輸血後感染症検査ってやっぱり検査しないといけないの?

輸血をされた方を対象に、医療機関によって案内の名称が違うと思いますが「輸血後感染症検査のご案内」というものをもらったり、郵送されてきたという方もおられると思います。

 

これって、どうすればいいの?検査をしなければいけないの?と不安に思いますよね。

 

そもそも、この輸血後感染症検査って何なのかご存知でしょうか?そして、この検査はした方がよいのかどうかについて考えてみました。

 

ズバリ、この輸血後感染症検査は「医師から検査を勧められたらしましょう」としか言えません。そんな曖昧な(あいまいな)答えを聞きたいのではないという声が聞こえてきますが、すみませんがそう答えるしかないのです。

輸血後感染症検査の必要性とは?

厚生労働省(以下、厚労省)の「輸血療法の実施に関する指針」では、

 輸血後肝炎  本症は、早ければ輸血後2~3か月以内に発症する が、肝炎の臨床症状あるいは肝機能の異常所見を把握できなくても、肝炎ウイルスに感染していることが診断される場合がある。特に供血者がウインドウ期にあることによる感染が問題となる。このような感染の有無を見るとともに、早期治療を図るため、医師が感染リスクを考慮し、感染が疑われる場合などには、別表のとおり、肝炎ウイルス関連マーカーの検査等を行う必要がある。

ヒト免疫不全ウイルス感染  後天性免疫不全症候群(エイズ)の起因ウイルス (HIV)感染では、感染後2~8週で、一部の感染者では抗体の出現に先んじて一過性の感冒様症状が現われることがあるが、多くは無症状に経過して、以後年余にわたり無症候性に経過する。特に供血者がウインド ウ期にある場合の感染が問題となる。受血者(患者) の感染の有無を確認するために、医師が感染リスクを考慮し、感染が疑われる場合などには、輸血前にHIV抗体検査を行い、その結果が陰性であれば、輸血後2 ~3ヶ月以降に抗体検査等を行う必要がある。

とあります。

輸血後感染症検査の検査項目と検査料は?

輸血後感染症検査とは、輸血をされた方を対象に輸血後3カ月を目安に検査されます。検査項目は、B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス・エイズウイルスの3項目になります。

 

具体的には、B型肝炎ウイルスでは核酸増幅検査(NAT:ウイルスを人工的に増やしてから検査をするため高い精度の検査になります)、C型肝炎ウイルスではHCVコア抗原検査、エイズウイルスではHIV検査となります。

 

この3項目は保険適用になりますので、初診料や再診料、判断料を除いて約2,000円ぐらいかかります。

 

また、輸血を行った医療機関からの「検査のご案内」は、あくまでも案内であって検査を強制するものではありませんし、輸血を行った医療機関で検査を行わなくても近くの医療機関でも検査はできます。

献血血液のウインドウ期とは?

献血された血液は日本赤十字社(以後血液センター)で感染症を含めた色々な検査をして、陰性(合格)になった血液だけが各医療機関に届けられます。

 

しかし、上記のウインドウ期ではウイルスに感染していても検査の検出感度によって、その検査をすり抜けてウイルスに感染した血液が陰性(合格)と判断されてしまいます。

 

このような血液が輸血されてしまうと、当然ウイルスに感染してしまいます。

医薬品副作用被害救済制度について

医薬品によって重度な副作用が起こった場合には、「医薬品副作用被害救済制度」という公的な給付制度があり、輸血用血液もこの対象になります。

 

給付には7種類(医療費・医療手当・障害年金など)あり、適正な使用や請求期限などの条件があり、患者さんご本人又はその遺族の方が必要な書類(診断書など)を添えて「独立行政法人医薬品医療機器総合機構」に請求をします。

 

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、厚生労働大臣に判定の申し出を行い、薬事・食品衛生審議会を経て判定されます。

実際問題どれだけの血液がすり抜けてしまうのか?

2012年に血液センターでは、輸血用血液のHBc抗体という検査の基準を厳しくしました。さらに、2014年には個別NAT検査を導入しました。

 

その結果、輸血用血液でB型肝炎ウイルスに罹患した件数は年間3件、C型肝炎ウイルス・エイズウイルスにおいては感染例がありません。

日本輸血・細胞治療学会の見解とは?

日本輸血・細胞治療学会(以下、輸血学)は、日本の輸血医療における最高峰の学会です。

 

この学会が、上記の結果と今の医療制度の危機的状況から2018年5月26日の学会総会において輸血後感染症検査のあり方についてシンポジウムで議論され、

「実施意義の見直しを提言する」

という見解を示しています。

私の見解は?

厚労省の「輸血療法の実施に関する指針」では、感染が疑われる場合には検査をする必要があるとしています。輸血を受けた方は、絶対に検査をしなさいとは記載していません。

 

また、血液センターのさらなる検査体制の充実によって、日本の献血血液は世界のトップレベルの安全性になりました。このため輸血用血液が、感染リスクや感染の疑いがあるといえるのでしょうか?

 

輸血学会においても、上記の見解を示しています。

 

さらに、2025年問題(団塊世代が後期高齢者になる)もあり、日本の保険制度は危機的な状況になっています。

 

それに、「遡及調査のガイドライン」というものがあります。これは、献血をされた方が次回の献血時に検査基準に引っかかった場合に、過去に遡って(さかのぼって)精査をするというものです。

 

過去の献血歴や各医療機関で作成されている「輸血管理簿」から、その血液がどこの医療機関で誰に使用されたかがわかります。

 

その対象の血液が輸血された患者さんは、感染症検査の履歴などを調べて、検査していなければ当然検査されます。

 

以上のことから、輸血後感染症検査は「医師から勧められた場合に検査を受けたらよい」と思います。

まとめ

輸血後感染症検査って検査した方がよいのか迷うと思います。しないよりした方が安心ですよね。しかし、検査をするにしても検査料がかかってしまいます。

 

厚労省からの「輸血療法の実施に関する指針」と「輸血学会の見解」、血液センターの検査体制の充実などを考慮して、医師から輸血後感染症検査を勧められた場合に検査すればよいのではないでしょうか。

 

上記は、私個人の見解です。医療従事者の中には、絶対に検査したほうがいいって言う人もいます。そこのところは考慮していただいたら幸いです。

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