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血液検査は複数項目で判断するとは?

2018/08/10
 
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病院を受診した時には、必ずといっていいほど採血をされると思いますが、この採血結果を自分である程度理解できたら医師の説明も理解しやすくなるのではないでしょうか?

 

今回は、その採血結果の見方の一例を説明したいと思います。ポイントは1項目だけではなく複数項目から判断するとより効果的です。

栄養状態を知る検査項目

採血項目の中で、アルブミン(ALB)総コレステロール(T-CHO)コリンエステラーゼ(CHE)の3項目に注目してください。

 

普段、食事をすると消化管で分解・吸収され、肝臓に運ばれて合成されます。

 

この3項目の結果のうち1項目でも基準参考値の範囲内か、または基準値を超えていれば、最近までは栄養状態が良かったと考えられます。

 

 

3項目とも基準参考値の範囲から低下していれば、長期間栄養状態が悪かったと考えられます。

全身状態を知る検査項目

全身状態は、アルブミン(ALB)血小板(PLT)の値に注目してください。

アルブミン

アルブミンは、進行している疾患があれば低下してきて、回復すれば上昇してきます。ただし、アルブミンは水分の影響を受けますので、ある程度の結果を時系列でみたほうがよいと思います。

血小板

血小板は、血管内の炎症の度合いを表しています。血管内に炎症があれば低下して、炎症が収まれば上昇してきます。

 

主に、DIC(全身の小さな血管に小さい血液の固まりができる)や敗血症(細菌が血液中に入り全身に症状がでます)、SIRS(手術や熱傷などでサイトカインというものが産生されて全身の急性炎症反応を起こす)などでの経過診断に役立ちます。

細菌感染を知る検査項目

細菌に感染しているかどうかは、白血球分画に注目してください。この白血球分画というのは、白血球を好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球に分類したものです。

 

細菌感染症では、白血球数では経過と共に増減しますし、CRPは細菌感染の特異度が低いため、上記の白血球分画の左方移動というもので判断します。

 

左方移動しているかどうかは、桿状好中球(Stab)数に注目します。

 

好中球は細菌感染などがあると多くなってきますが、この好中球は成熟の度合いによって核が桿状から分葉になっていきます。骨髄から産生されたばかりの好中球は白血球の核が分かれておらず桿状(棒状)です。

 

この未熟な好中球(桿状好中球)が多くある状態が左方移動と呼ばれるものです。今現在、細菌感染を起こしていると判断されます。ただ、注意しなければいけないのは感染性心内膜炎や髄膜炎、膿瘍は左方移動がみられません。

 

また、炎症反応の検査は他にもありますので、複数の検査で判断することが重要です。

細菌感染の重症度を知る項目

重症度は、白血球数と上記の左方移動に注目します。白血球数は細菌を食べている状態を表し、左方移動は骨髄からの好中球の産生状態を表します。

白血球数が増加しているが左方移動がない場合

左方移動がないということは骨髄からの好中球の産生がないので、細菌感染以外で白血球数が増加している、または細菌感染症の回復初期と考えられます。

白血球数が減少していて左方移動がない場合

白血球数が少ないということは好中球が消費されていて、骨髄からの好中球産生がないということは、細菌感染の初期が考えられます。

白血球数が増加していて左方移動がある場合

白血球数増加と左方移動があるということは、骨髄からの好中球産生が十分にあって白血球が消費されているので、細菌感染の状態であると考えられます。

白血球数が減少していて左方移動がある場合

骨髄からの好中球産生があり、さらに好中球が大量に消費されて供給が間に合わないため、危険な状態であると考えられます。

敗血症を知る検査項目

敗血症は、白血球左方移動血小板フィブリノゲン(Fbg)に注目します。

 

血液に細菌が入り込むと血液が凝固しやすくなり、血小板とフィブリノゲンが低下します。

腎臓の機能を知る検査項目

腎臓の機能は、尿素窒素(UN)クレアチニン(CRE)eGFR尿酸(UA)に注目します。

 

腎臓の働きが悪ければ、UN・CRE・UAは増加します。eGFRは逆に低下します。UN/CRE比が上昇している時には、消化管出血・甲状腺機能亢進症・心不全・肝不全などを考えます。

 

肝臓の機能を知る検査項目

肝臓の細胞障害はALTAST、肝臓の代謝能はT-Bil、肝臓の合成能はアルブミン総コレステロールコリンエステラーゼに注目します。

 

ALTはGPTのことで、ASTはGOTのことです。最近では、GOT・GPTとは表記されていませんので注意してください。

 

ASTは肝臓の他に心筋・骨格筋・赤血球などにも存在しますが、ALTは肝臓に特異的であるためAST/ALTの比からある程度の肝臓の細胞障害がわかります。

 

また、PT(プロトロンビン時間)や血小板も併せて評価することも重要で、肝臓の機能が悪くなると低下します。

胆管の状態を知る検査項目

胆管はT-BilD-Bilγ-GTPALPに注目します。胆管が閉塞して胆汁が流れなくなるとγ-GTPやALPが上昇します。胆管の閉塞がない場合には、γ-GTPでは飲酒の影響、ALPでは骨や小腸由来を疑います。

 

電解質異常を知る検査項目

電解質の異常は、ナトリウム(Na)クロール(Cl)カリウム(K)に注目します。摂取量と排出量のバランス、腎機能(糸球体濾過量)、ホルモンにより変動してきます。

 

Naは、嘔吐・下痢などによる脱水症、むくみなどで増加してきます。低下している場合には、腎不全・心不全・甲状腺機能低下症・利尿薬使用などが考えられます。

Clは、脱水症状・腎不全などで増加してきます。低値の場合には、嘔吐・下痢・肺炎・腎障害などが考えられます。

Kは、神経や筋肉の働きを調節しているため、低下すると神経に異常がでたりします。逆に増加すると心臓の筋肉に影響をあたえて動きが悪くなります。

おわりに

以上のように検査項目は、1項目で判断するのではなく関連する複数の項目に着目することが重要になります。

 

検査項目の値が、基準参考値に入らなくて結果にH(値が高い場合)やL(値が低い場合)が付いていたら、その項目がどこの検査をしているのかを知っているのと知らないのでは、医師の説明の理解度も変わってくると思います。

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