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輸血には多くの落とし穴があ~る!

 
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どこの分野でも同じですが病院検査も30年ぐらい前から自動化が始まっていました。

私のヘッダー画像もその1例ですが、採血をさせていただいた患者さんの大事な血液を遠心器と呼ばれる器械で高速遠心させた後に、この機械に載せるだけで全自動で測定してくれます。

はっきり言って誰でもできます。載せるだけですからね。

私の専門とする輸血分野までも随分と前からその波は来ていて、当院でもやっと輸血検査の全自動機械が導入されたのですが、この機械いくらすると思いますか?

ちなみに、ヘッダー画像の生化学分析器は定価で2,000万円近くします。また、超音波装置(お腹などを診るエコーの機械)も1,000万円は軽くします。

今回導入された輸血全自動分析器も定価で1,000万円はします。

これが導入されたことについては大喜びなんですが、当院だけでなく輸血分野では、今困った問題が起きています。

その問題とは、試験管法ができる技師が少なくなってきているということです。

輸血検査の自動化の問題点とは?

輸血検査は昔から試験管法といった人の手で試薬や検体を試験管に入れて、人の目で凝集(赤血液同士が引っ付く)の有無を検査していました。いわゆる職人技が必要とされてきた検査になります。

全自動分析器では載せるだけで、血液型や不規則抗体検査、輸血検査もできちゃうんです。

そのため、今の若い世代の人達は試験管法をやったことがないといった問題が起こっています。

輸血するまでには多くの落とし穴が隠されている

輸血をするまでには医師・臨床検査技師・看護師が関わり、多くのミスが起こりうる場面があります。

  • 医師による血液型オーダーミス
  • 交差適合試験用採血時での患者取り違え
  • 交差適合試験での検体取り違え
  • 交差適合試験での判定ミス
  • 輸血用血液の受け渡し時での取り違え
  • 輸血準備時での取り違え
  • 輸血時での取り違え
  • その他

このように輸血するまでには多くの落とし穴があることがわかります。この中で一番多いのが、輸血準備時と輸血時での取り違えというデータが報告されています。

このような落とし穴を埋めるために、必ず輸血マニュアルを作成していてその通りに行えばミスは起きないのですが、どういうわけかマニュアル無視などが後を立ちません。

また、輸血システムなどの器機を使用して人間の確認と器械による確認を取り入れている医療機関が増えてきています。

輸血自動化の利点と欠点について

輸血自動化の最大の利点は、何と言っても輸血事故防止にあります。たまに血液型〇型の患者さんに△型の血液を輸血したなどのあれです。

当院の場合ですと、採血時には検体バーコードが貼られていますので、患者さんに名前と生年月日を言ってもらう又はバーコードリーダーで読み込ませてから採血をするため採血ミスはほぼなくなりました。

今回の全自動分析器のおかけで検体の取り間違いもなくなりました。また輸血時には、輸血システムを使用して間違いが起きないようになっています。

欠点は、試験管法のできる技師が少なくなったことにあります。

この問題が起こった原因はどこにあるのか?

輸血の自動化の責任でしょうか?

いいえ、違います。

私が考えるのには、輸血全自動分析器を使いこなしていないということです。どういうことかと言うと、この全自動分析器で測定しても必ず異常反応がでるということです。

その時には、試験管法での精査になるわけですが、技師会で研修会を開催しても聞かれることは「うちは試験管法じゃないから」という言葉です。確かに全自動分析器で実施している施設は、試験管法では行いません。

しかし、何かあった時には試験管法で精査するしかないのです。自動化がいくら進んでも試験管法は必ず残ります。必ず、必要になる検査方法です。

まとめ

輸血するまでには、多くの落とし穴が存在します。このため医療機関では輸血マニュアルの作成や器機による確認と人間の目で確認するなどの対策を講じています。

また、輸血検査の自動化が進んで試験管法ができる技師が少なくなっています。

これには、技師による認識の違いが影響しているようですが、輸血の自動化が進んでも試験管法は精査のためにはできないといけない検査で、これからも必ず残る検査方法です。

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